"MBAよりも簡単で英語よりも大切な決算を読む習慣"を読んだ感想
表題の本を読んだのでその感想です。
- 作者: シバタナオキ
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/07/13
- メディア: Kindle版
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タイトルにあるようにこの本は決算を読む習慣を作るきっかけを与えてくれる本です。他の会計本のように、決算書の項目をひとつひとつ丁寧に解説するわけではありません。
この本では、決算を読むよりも先に、まず対象とする企業のビジネスモデルは何かを洗い出します。そのビジネスモデルがどれだけ上手くいっているのか決算の数値を見ながら実践的に解説します。
決算を読み解く時に必要なテイクレイト、ARPUなどの数値を、どうやって計算すればいいのか業種ごとの説明があります。
最後の企業買収の章では、恥ずかしながらあまり把握していなかったのれん代とIFRSと減損処理の関係が紹介されています。ここを読むことで、なぜ成長ベンチャーを積極的に買収する大企業は、日本会計基準ではなくてIFRS会計基準を採用するのかがわかるようになります。
最後ののれん代の話では楽天が事例として紹介されていて興味深かったです。楽天にはモバイル通信ビジネスの参入以外にも、多数の海外企業を買収してきたためのれん代の減損処理リスクがあります。
2018年6月の楽天ののれん代は、3500億円ほどあるようでした。
https://corp.rakuten.co.jp/investors/assets/doc/documents/18Q2supplement.xlsx
viberとebatesののれん代が、それぞれいくらか項目別表記されてないので詳しい数値はわかりませんが、おそらく両者とも未だ1000億円近くののれん代があると思われます。
2018年度第2四半期決算の資料では、eatesは流通総額の成長が多少鈍化。viberは具体的な売上数値、アクティブユーザ数の推移を公表していない(登録ユーザ数は公表しているけれど)のでこの両事業が成功するか不確定です。のれん代の減損処理リスクは未だ付きまとっているようでした。
2018年度決算短信・説明会資料|楽天株式会社
ひふみ投信の藤野さんが「この本を読むと、決算がドラマになる」という推薦コメントを寄せられていますが、確かにこの本は決算の裏にあるドラマを見る手助けをしています。