TORIPIYO DIARY

recent events, IoT, programming, security topics

LIFE SHIFT 2 を読んでの感想

去年の年末に購入してそのまま読んでなかった LIFE SHIFT 2 をこのゴールデンウィークに読みました。 なんとなくこの数年感じていたことがこの本では言語化されていました。

本書では、人生100年時代を迎えるにあたって、これからの人・企業・教育機関・国はどうすれば良いかが述べられています。

人生100年時代となると、いままでのような、22歳の大学卒業まで教育を受けて、60~65歳まで働いて、その後は引退生活、という従来の3ステージ制で人生設計して生きていくのは色々と限界が出てきます。 AIや自動運転などのすごいスピードの技術革新によって、労働市場で求められる能力は従来よりもより早く変化していくことが予測されるため、就労期間の中に学習期間(大学や専門学校などに行って学ぶ)を設ける必要性が高まります。引退してから40年もあると、働かずに資産を取り崩すだけの生活では手持ち資金が底をつく可能性が出てきます。

これからは3ステージ制ではなくて、多ステージ制を前提としてライフプランを考えていく必要があると本書では述べています。自分はITエンジニアとして働いていますが、ITエンジニアはこの本であげられているような、大学に行って学んだり、1年ほど仕事から離れて旅に出たり、ボランティアなどに参加して過ごすなどのライフスタイルが比較的実現しやすい職種であると思います。そして、このような他ステージを渡るキャリアを歩んだITエンジニアの方が、技術変化の激しい業界ではより高い生産性を発揮できる可能性は大いにありそうです。

最近、FIRE(Financial Independence Retirement Early)という生き方(自分の理解では、なるべく早く株式や不動産の資産所得を生きるのに十分な水準まで増やし、引退して好きなことをして過ごす生き方)が話題となっていますが、このFIREは大枠では3ステージ制を前提にしたものです。多ステージ制を前提としたライフプランの設計のほうが、多くの人にとっては現実的かもしれないと感じました。

重要なものとして、異なる世代と繋がることが述べられています。自分はこれが出来ているのかというと出来ていないのですが、最近高齢者にスマホなどのIT機器の使い方を教えるボランティアに興味があり、内容には同意するところがありました。

また、本書では教育機関はより大人を受け入れるように体制を整えていく必要があると主張しています。日本の大学は、10代後半から20代前半の人を教えることを中心に設計されており、社会人を受け入れる体制が十分に整備されていません。18歳以下の人口が減っているので、今後ITを一層活用した社会人層をターゲットとした教育カリキュラムが充実していくことを期待したいです。

5年後ぐらいにこの本を再度読むと、その内容により一層共感するようになっているかもしれません。