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住民税の計算方法(サラリーマン向け)

今回は住民税の計算方法を記載したいと思います。

住民税

住民税は、都道府県や市区町村に収める税金です。所得税国税なので国税庁のページにその計算方法の説明がありますが、住民税の場合は各自治体に納付するため、計算方法の説明は各自治体のホームページにあります。自分の住んでいる自治体の住民税について、その計算方法を正しく知りたい場合は、住んでいる自治体のホームページを参照ください。住民税は自治体によって微妙に税率など異なる場合があり、自分の正確な住民税を知るためには、各自治体の出す情報が最も確実な情報源となります。

住民税の計算式は以下の通りです。所得割額と均等割額を合計したものが住民税となります。どちらの比率が大きいかというと、所得割額の方が住民税に占める割合は大きいです。

住民税 = 所得割額 + 均等割額

  • 所得割額
    • 所得によって納税額が変わる
  • 均等割額
    • 所得によって納税額が変わらない(生活保護の適用や一定以下の低所得の場合を除く)

以下では、所得割額と均等割額の計算方法を、川崎市を例としながら説明します。

所得割額

所得割額は以下の式で1~4の順に計算します。所得税の計算と計算方法は似ていますが、最後に調整控除という項目があります。

1. 給与所得 = 給与の収入金額 - 給与所得控除
2. 課税所得 = 給与所得 - 各種所得控除
3. 所得割 = 課税所得 x  税率(10%)
4. 所得割額 = 所得割 - 調整控除

この計算式のポイント

  • 住民税の各種所得控除の額は、同じ項目でも所得税よりも小さくなります。例えば、所得税配偶者控除は38万円ですが、住民税の配偶者控除は33万円となり、控除額は5万円少なくなります。
  • 課税所得にかかる税率はほとんどの自治体で10%です(川崎市の場合は、市民税8%, 県民税2.025%の合計10.025%です。理由は、神奈川県は他の県と比べて税率が0.025%高いためです)。所得税の場合は課税所得に応じて税率は変化(5% ~ 40%の範囲)します。
  • 所得税には存在しない調整控除という概念が登場します。調整控除については、あとで説明します。

給与所得控除

給与所得控除は、川崎市の場合は以下の通りとなります。これは、令和元年の住民税(納税は令和2年6月~令和3年5月の期間で実施)の表で、令和2年以降の住民税(納税は令和3年6月~令和4年5月の期間で実施)を計算する際には、この表を利用することはできません。なぜなら、令和2年以降は、年収850万円以上の給与所得控除額が減額されるからです。

令和元年の住民税の給与所得計算表

給与収入金額 給与所得金額
1円~ 650,999円 0円
651,000円~1,618,999円 給与収入金額-650,000円(給与所得控除額)
1,619,000円~1,619,999円 969,000円
1,620,000円~1,621,999円 970,000円
1,622,000円~1,623,999円 972,000円
1,624,000円~1,627,999円 974,000円
*1,628,000円~1,799,999円 給与収入金額×60%
*1,800,000円~3,599,999円 給与収入金額×70%- 180,000円
*3,600,000円~6,599,999円 給与収入金額×80%- 540,000円
6,600,000円~9,999,999円 給与収入金額×90%-1,200,000円
10,000,000円以上 給与収入金額-2,200,000円

各種所得控除

所得税と同様に、各納税者の実情に応じた税負担をするために、社会保険料控除・生命保険料控除・配偶者控除など、各種所得控除額が給与所得額から差し引かれます。所得税と同じ項目(例:配偶者控除)でも、住民税の場合は控除額の減る場合があります。(例:川崎市の各種所得控除

税率

課税所得に対して一定の税率をかけたものが所得割です。税率は10%の自治体が多いですが、一部の自治体(神奈川県は税率10.025%, 豊岡市は税率10.1%など)では、税率が少し高くなることもあります。

調整控除

調整控除の計算方法は少し複雑です。プログラミングのように記述すると以下の式となります。(min, maxは、与えられた引数のうち最小、最大の値を返す意味です)。課税所得の総額が200万円を越えるほとんどの人は、 H - T + 200万円 が5万円以下となるそうで、調整控除は 5万円 x 0.05 = 2500円 となります。

T: 課税所得の総額
H: 所得税と住民税の人的控除の差額の総額
if T <= 200万円
  調整控除 = min([T, H]) x 0.05
else if T > 200万円
  調整控除 = max([(H - T + 200万円), 5万円]) x 0.05
end

均等割額

均等割額は、一定の条件の下で免除されている人を除けば、所得に関係なく一定額を納税します。年収400万円の人も、年収1000万円の人も、同じ自治体に住んでいれば同じ均等割額を納めることになります。均等割額は自治体ごとに異なる場合もあります。横浜市は、所得割額の税率と均等割額のどちらも、他の自治体よりも高いです。

  • 東京都千代田区 5000円(都民税1000円, 区民3000円, 復興特別税1000円)
  • 埼玉県さいたま市 5000円(県民税1000円, 市民税3000円, 復興特別税1000円)
  • 神奈川県川崎市 5300円(県民税1000円, 水源環境保全・再生のための上乗せ分300円, 市民税3000円, 復興特別税1000円)
  • 神奈川県横浜市 6200円(県民税1000円, 水源環境保全・再生のための上乗せ分300円, 市民税3000円, 復興特別税1000円, 横浜みどり税900円)

復興特別税の1000円は、東日本大震災からの復興目的に設けられた税金ですが、令和6年以降は森林環境税と名称が変わり恒久的に徴収するそうです。

川崎市の場合

実際の具体例を通して、住民税を計算してみます。この例は、川崎市のホームページに掲載されていたものです。

前提条件

  • 家族構成
    • 夫婦と子供2人(妻子は所得なし、夫婦共に43歳、子は17歳と11歳)
  • 前年中の収入
    • 給与収入金額 7,633,000円
  • 前年中の社会保険料支払額 770,500円
  • 前年中の生命保険料支払額 300,000円(新契約の一般生命保険、個人年金、介護医療保険ともに各100,000円)

住民税の計算

所得割額

  • 所得金額

    • 給与所得金額: 7,633,000円(収入金額)-1,963,300円(必要経費)=5,669,700円
  • 所得控除額(合計: 1,830,500円)

  • 課税所得金額: 5,669,700円 - 1,830,500円 = 3,839,200円 => 3,839,000円 (1,000円未満切捨て)

  • 所得割

    • 市民税: 3,839,000円 x 8% = 307,120円
    • 県民税: 3,839,000円 x 2.025% = 77,739円
  • 所得控除

    • 課税所得は3,839,000円で200万円を越えて、人的控除額の差の合計は150,000円なので、調整控除は以下のように計算される
    • 調整控除: max(150,000円-(3,839,000円-2,000,000円)=-1,689,000円, 50,000円) = 50,000円
      • 市民税: 50,000円 x 4% = 2,000円
      • 県民税: 50,000円 x 1% = 500円
  • 調整控除後の所得割額

    • 市民税: 307,120円 - 2,000円 = 305,120円 => 305,100円 (100円未満切捨て)
    • 県民税: 77,739円 - 500円 = 77,200円

均等割額

  • 市民税: 3,500円
  • 県民税: 1,800円

住民税

  • 住民税: 市民税 + 県民税 = (305,100円 + 3,500円) + (77,200円 + 1,800円) = 308,600円 + 79,000円 = 387,600円

計算すると、市民税の方が県民税よりも納税額の大きいことがわかります。一般的に、住民税は課税所得のおおよそ10%と言われていますが、この例では、(387,600円 / 3,839,000円) = 10.096% となり、確かにおおよそ10%の範囲に収まっていることがわかります。個別のケースにより、10%からのズレは変化すると思いますが、素早く概算したいときには使えるテクニックだと思います。住民税の課税所得に対する税率は10%で一定なので、各種控除によってどれぐらい節税出来たのかという計算は所得税よりも簡単です。例えば、一般生命保険で2.8万円控除を受けた場合は、2.8万円 x 10% = 2800円の住民税を節税できることになります。

参考